事業者の騙しのテクニックと訴訟リスク

河川協議の重大な瑕疵

函南メガソーラーの林地開発許可時の手続きを再検証する県の産業委員会で、長い時間を掛けて審議された河川協議の問題。

委員はこれを重大な瑕疵と捉え許可の取り消しさえも示唆する中で、県当局は修正で対応可能と考えています。

河川協議に関しては町管理の河川と県管理の河川の両方に問題があることが発覚していますが、今回は町管理のものについて、できるだけわかりやすく解説します。

重要なのは狭窄部の合意

川勝知事は、森林法に則り基準を満たしていれば許可をしなければならないと説明しています。それは法的に正しい説明です。

県の審査基準では「河川管理者の同意を得ること」と書かれています。

「静岡県林地開発許可審査基準及び一般的事項」より

本件事業規模の場合、森林法の審査基準によれば県管理河川(柿沢川)の比流量の最も小さくなる地点(狭窄部)を事業者と河川管理者と協議を行った上で河川管理者の合意が必要です。
その合意された河川狭窄部の比流量の値を根拠に防災施設(調整池)の容量等が導かれる訳です。

捏造された町との「河川協議簿」

函南町管理の河川(赤沢川、丹那沢)の河川協議は行われていないことは函南町長が公文書で明らかにしています。
事業者が県に提出した河川協議簿は、後に事業者ブルーキャピタルが単なる窓口相談を勝手に「河川協議簿」として纏め提出したものであることが明らかとなりました。

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訴訟リスクは取り消さない理由にはならない

許認可の前提が存在しない以上、本来、許可は取り消すべきです。

ところが県は事業者側の単なるミスとすることで「修正」という言葉で誤魔化そうとしています

たしかに、行政が一度許可を出したものを取り消すことは非常に困難です。
それは事業者の権利を奪う法行為となるためです。
産業委員会でも委員から「訴訟リスクがあるから取り消しに慎重なのはわかる」との意見も出されました。

しかしその権利を得るために脱法的行為があった場合は事情が違います。
県が審査ミスをするに至る経過は、ブルー社側の信義に反する虚偽説明や文書に原因があったわけですから、事業者から損害賠償を提起されても裁判所は全額認めることはありません。

また、県のミスによる訴訟リスクを地元住民が命の引き替えに我慢しなくてはならない理由もありません。
県にも落ち度があり、賠償すべきものがあるのなら、そのとおり賠償責任を負うべきです。

県民は、真相を知る権利があります。
真相が暴かれるよう願っています。