連載(6)遅れた事業計画、遅らせた条例制定

当初の事業計画では条例施行前に工事が始まるはずだった。
ところがその計画は遅れてしまった。

すると、函南町はそれに合わせるかのように大慌てで条文を書き換えたのだ。

私は条例の4番、これを「幻の条例案」と呼んでいます。
書き換えられた条例案は、これが函南町の正規の条例です。

メガソーラーの条例というのは条例本文と施行規則の2つがセットとなっている。
ですから函南町のホームページを見ると条例本文と施行規則がダウンロードできるようになっています。
私は昨日確認しましたが、町はよほど慌てていたのでしょうか。条例の本文はこの5番のまさに函南町が作った条例そのものですが、施行規則の方は「幻の条例案」のものがそのまま残っています。
条例の本文と施行規則がまったく食い違ったカタチで掲載されています。
まだ函南町は気がついていませんね。

ブルーキャピタルの事業計画を見ますと今年の3月の時点で林地開発の許可が下りると見込んでいました。
もし、3月の前に許可が下りると4月辺りから工事に取り掛かります。
工事にとりかかった後、函南町は6月に条例を制定して10月1日から施行します。

施行した時点でもう工事が始まっていますから工事そのものが阻止できません。
つまり函南町でもしメガソーラーをやらせたかったら条例は3月に作ってはダメなんです。
6月に作らなければなりません。施行を10月まで引っ張らないと工事が止まってしまいます。

工事ができるようにするためには条例はなるべく遅いほうがいいのです。
しかも6月ぐらいが丁度いい・・・、というのが私の推測です。
そういう風に誰かが考えたのではないかな、と思います。

それで実際はどうだったかというと、林地開発の許可が7月8日になりました。
これはブルーキャピタルにとっては少しまずい事態です。
さらに「環境評価アセス」の条例が動き出しました。この環境アセスを通過しないと今度は工事ができない事態になりました。

2019年6月7日時点のブルーキャピタルのホームページより

ですからブルーキャピタルはとにかく3月の手前で林地開発の許可が欲しかったのです。
でも実際にはそうはならなかった。許可は7月までかかってしまった。
それで自分たちの事業が条例に引っかかってしまったということです。

当然、工事はできません。今は工事できない状態です。

この状態であれば、私の言った「幻の条例案」であれば「着工する60日前に事業者の方は届け出ること」ですから、もう町長が何を考えようが条例は適用されてしまいます。
そうなれば当然、ブルーキャピタルは工事ができないということになります。

ですからブルーキャピタルに工事をやってもらうためには「幻の条例案」ではダメなんですね。
なんとか条例の表現を変えなければいけない。
それで条例案の5番が登場したと私は想像します。

これは非常に微妙な表現ですから、「遡及できない」と説明できるような、できないような。
私はできないと思っていますけれど、誰かができそうだと言っているわけですね。

そうすると環境アセスの手続きが終了すれば工事が開始できるということになってしまいます。
ただ何度も言いますが、私は条例の5であっても適用できると考えています。
その詳しい話はこの後の山口さんが説明いたします。

(つづく)

(1)集落の水路を排水路として使う危険な計画
(2)常套句は「地元の同意は必要ありません」
(3)町の事前協議の結果は「不同意」
(4)「条例適用は難しい」なぜ?
(5)不自然に条例から消えた文言「着工の60日前」
(6)遅れた事業計画、遅らせた条例制定

NEXT→ (7)「民家があったら大惨事」霧島市の教訓