ひろた議員「県の見解を徹底的に検証します」

函南町選出のひろた直美県会議員が発行する「県議会報告」の内容について質問した回答が来ましたので報告します。

質問内容はこちら
申請内容は“誤り”なのか“虚偽”なのか?

ひろた直美議員からの回答

 県と町の見解が大きく異なる「町の管理河川の協議は整ったと判断した」という県の見解について徹底的に検証するべきと考えています。
この件については、県と町の公文書でも見解が大きく異なっています。今回の答弁だけでは、この問題の詳細が伝わらないと思いますので、公文書の一部を記載します。

 令和3年6月1日、函南町長名から知事名に提出された要望書の中に、

3 林地開発許可の申請書等の記載内容の疑義について
 公開されている静岡県陳地開発の審査基準及び一般的事項について確認させていただきましたが、以下のとおり事業者から提出された申請書類等に疑義があるため意見させていただきます。

①第1災害の防止、第2水害の防止について
 技術基準のなかで雨水放流先の排水施設等の管理者と協議し同意を得ることと明記されておりますが、放流先である普通河川赤沢川、普通河川名賀田川(丹那沢)や占有先である県道及び町道の管理者と協議は整っておらず、町は管理者として同意しておりません。

とあります。

これに対して県は、令和3年10月15日、静岡県建材産業部森林・林業局森林保全課長名から函南町建設経済部都市計画課長名に回答しています。その中に、

 2 6月要望書「3 林地開発許可の申請書等の記載内容の疑義について」について
 貴町から本県に対して「事業者から提出された申請書類等に疑義がある」との意見がありましたので、次のとおり県の見解を示します。

①第1災害の防止、第2水害の防止について
 県林地開発審査基準では、開発行為地からの排水先の河川等の安全性の確保や洪水を防ぐ調整池の設計に用いる河川の狭窄部(流下能力が低い部分)の適切な選定のため、事業者は河川管理者と協議を行い、同意を得ることとしております。
また、県林地開発許可申請書記載要領では、関係市町長との協議結果を記録し、申請書に添付することになっております。

 県としては、次の5点(ア~オ)から、県林地開発審査基準で定める「河川管理者と協議を行い、同意を得る」との基準は実質的に満たされているものと判断しております。

ア 事業者と貴町の協議
 事業者が貴町と協議した結果を記載した協議簿によれば、事業者は、平成30年11月から12月にかけ、貴町と5回に渡って協議を重ね、平成30年12月に貴町から「このルートで良い」との回答を受けたことをもって、貴町への同意を得たと判断しております。なお、林地開発許可申請書には、事業者が貴町との協議に基づいて作成した図面(平面図、縦断図、断面図等)や流下能力のチェック計算書が添付されております。

イ 本県から貴町担当者への確認
 県では、事業者から提出された上記協議簿に基づき、貴町が同意したことを確認するため、電話で貴町の担当者に照会したところ、「放流はOK」との回答を得ました。

ウ 貴町の林地開発許可に係る意見書
 貴町から提出された林地開発許可に係る意見書では、事業者は河川管理者(貴町)の同意を得ていない等の意見は付されておりませんでした。

エ 本県から貴町への林地開発許可に係る意見書の内容確認
 本県では、貴町から「土地利用事前協議については、不同意とすることが決定しました」との報告を受けて、本県職員が貴町を訪問し、この趣旨を確認したところ、貴町から「函南町土地利用事業の適正化に関する指導要綱(以下、「町土地利用指導要綱」という。)の基準は満たしている」との回答がありました。

オ 函南町議会での答弁
 令和元年6月の函南町議会で、貴町の建設経済部長が「(本事業は、函南町土地利用事業の適正化に関する指導要綱の)技術基準は満たしている排水計画になっております」と答弁されたと承知しております。

【エ及びオに関する補足説明】
 前述の町土地利用指導要綱の別表(第5条関係)第2の2においては、土地利用事業が「都市計画法第33条の規定による開発許可基準の規定による技術的基準に適合しているものであること」との基準が規定されています。そして、都市計画法第33条第1項第3号においては「排水路その他の排水施設が、・・・その(下水の)排出によって開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていること」と規定されています。
 このことから、県としては、貴町が「本事業は町土地利用指導要綱の基準を満たしている」と判断しているということは、「本事業の排水路その他の排水施設が、その排水によって開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていること」を確認しているということであり、その過程で、県林地開発審査基準で求める開発行為地から排水先の河川等の安全性の確保や洪水を防ぐ調整地の設計に用いる河川の狭窄部(流下能力が低い部分)の適切な選定」がなされていることが貴町によって確認されたものと考えております。

と回答しています。

この回答に対して、令和3年12月20日、函南町建設経済部都市計画課長名から静岡県経済産業部森林・林業局森林保全課長名に提出された見解の中で、県の回答書とは異なる見解を述べています。

1 貴町から「林地開発許可に対する不同意」の意見は示されておらず、県としては、貴町の主張は誤りであると認識しておりますについて
 貴県から平成31年3月1日付で林地開発許可に係る意見の紹介がありましたが、それに対して町が最初回答したのが4月17日で、内容としましては、現在町では土地利用対策部会で審議中であると回答したもです。これに対し貴県から「これでは意見ではない」ということで、4月26日付森保718号で再度意見照会がありました。
 これに対し町は、5月16日付で、林地開発許可申請について慎重な審議をお願いすることと、町の土地利用事前協議の審議結果がまだ出ておらす、土地利用調査委員会や土地利用対策部会及び企画会議での審議を予定しており、決定次第報告すると回答したしました。
 最終的には町は、5月30日付函産223号にて、5月16日付の意見に対し町に申請された土地利用事前協議については不同意とすることが決定したと林地開発許可の意見として報告したものです。
 このことについて貴県は林地開発許可に対する意見ではないとのことですが、町の意見としましては、慎重審議のお願い及びこの事業は町として不同意の事業であると文書をもって林地開発許可に係る意見をしたものです。
 また貴県は、令和元年6月4日に当町を訪れ、当時の建設経済部長から「事前協議を不同意にした旨を意見書に記載したのは、林地開発許可を不許可にしてほしいということではなく、慎重に対応してほしいということ。」と説明を受けたとありますが、町としましては、担当部長の発言ではなく、あくまでも公文書での回答がすべてであると考えます。

2 県としては、県林地開発審査基準で定める「河川管理者と協議を行い、同意を得る」との基準は実質的に満たされているものと判断しておりますについて
 貴県の見解では、町の河川管理者と協議を行い同意を得ている根拠として事業者から提出された協議簿と町へ電話確認した際の付箋メモの「OK」や議会答弁の一部抜粋により、「基準は実質的に満たしている」とされておりますが、この判断は飛躍しており、当町の解釈とは異なっていると言わざるを得ません。
 静岡県森林保全課の担当者は、平成30年11月30日時点において沼津土木事務所と当町に放流先河川の協議は終了していないことを確認しており、その後の平成30年12月3日、12月4日、12月10日の協議簿が事業者から提出されておりますが、町が内容を確認したものではありません。
 また、その協議簿にも「詳細については土地利用申請において協議する」と記載されています。
 このように事業者の協議簿においても河川協議が終了していないことが明らかであり、当町がこの事業に対する土地利用事前協議を不同意としたことで、この事業計画に関する河川協議についても不調となる可能性があることは容易に想定されます。この時点で、貴県は、町に公文書による河川協議の状況について意見照会をされ、河川協議の状況を明らかにする必要があったと考えます、
 町は、調整地から名賀田川(丹那沢)へ放流することについて民地があること及び赤沢川への放流については縦断の道路占用許可が必要であり、解決しなければならない問題が多々あり、そのような状況で、貴県が河川協議は終了していると判断するのは無理があると考えます。

と、県の回答書とは異なる見解を町は述べています。

これに対して、令和4年3月31日、静岡県経済産業部森林・林業局森林保全課長名から函南町建設経済部都市計画課長名に回答しています。

4 河川管理者の同意等について
 貴町から県に、河川管理者の同意等につきまして町見解書の提出がありましたが、県からk令和3年10月15日付文書で回答しました「林地開発審査基準で定める『河川管理者と協議を行い、同意を得る』との基準は実質的に満たされているものと判断しております。」という見解は、変わりません。

と、回答しています。

 このことから、①町が内容を確認したものではない事業者から提出された記録(協議簿)から、県は町が同意したと判断している。②町は意見として、慎重審議のお願い及びこの事業は町として不同意の事業であると文書をもって林地開発許可に係る意見としているが、県は、林地開発許可に対する不同意の意見を示されていないとしている。③県が町に林地開発許可にかかる意見について訪問にて確認した際に、担当部長から、「事前協議を不同意にした旨を意見書に記載したのは、、林地開発許可申請を不許可にしてほしいということではなく、慎重に対応してほしい」と説明を受けたことから、県は林地開発許可に対する不同意の意見は示されていないとしているが、町は、担当部長の発言ではなく、公文書での回答が全てである。④県が実質的に審査基準を満たしている根拠として、電話で町に確認した際の付箋メモの「OK」や議会答弁の一部抜粋をしている。等について徹底的に検証するべきと考えています。

また、「事業者からは、集水区域の取り方に間違いがあったとの連絡があった」について、取違いの理由を事業者が説明責任を果たしているのか、「申請書の誤り」と判断した県の見解も検証するべきと考えています。

 問題点を委員会のメンバーと整理して、林地開発許可の判断および手続きに対して、検証を行い、公の場で明らかにしていきます。

 

【解説】

要点
・河川協議は無かった。当然、同意も得られていない。
・県と町とのどちらに瑕疵があったかは意見が分かれる。
・根本的な原因は事業者の悪質な虚偽報告。

河川協議に関する真実はひとつ

函南町と事業者の協議において、その一方の当事者である函南町が無かったと断言しているのだから、それは確かに無かったのです。

県当局は、自分たちの判断ミスが明確となればそれ相応の処分の対象となりますから必死で言い訳をしていますが、それとこれとはレベルの違う話です。

町の伝え方が悪かったのか?県の判断が間違っていたのか?
それはたしかに意見が分かれるところでしょう。

しかし、河川協議が無かったことには変わりなく、同意も得られていないことは疑いようのない事実です。
もし仮に協議を行なっていたとしてもその結論は不許可であるとを仁科町長は明言しています。

これのどこが「河川管理者と協議を行い、同意を得る」の基準を満たしたと判断できるのでしょうか?県の見解にはあまりにも無理があります。

関連記事
仁科喜世志氏「私は絶対に許さない」

「バレたから直す」が許されるのか?

県当局はこの河川協議に関して「申請内容に誤りがあったことは、事業者は認めており、是正する意向も示している。悪質性があるわけではないので、申請内容を修正させることで、対応を考えている。許可の取り消しは考えていない。」と答弁しています。

しかし申請内容は「誤り」ではなく「虚偽」であったことが明らかになっています。意図的に騙したのです。これこそが林地開発許可取を取り消すべき最大の理由です。

「申請書を是正する」つまり、バレたから直します。そんなことで許されるような軽微なことではありません。
現にそうだからこそ森林法を所管する林野庁は、これらの事情を加味した上で「静岡県さえ林地開発許可の取り消しの意思を表明してくれれば、林野庁としては全面的に協力する」とまで言及してくれているのです。

ふじのくに県民クラブ、函南町のメガソーラーと熱海市の土石流問題に取り組むプロジェクトの座長となった、ひろた議員の今後の活躍を大いに期待しています。

関連記事
林野庁「河川協議は重要な要件」