函南に新たなメガソーラー計画
小学校など近く住民は反対運動
函南町の山林で建設が計画されているメガソーラー施設。
その大きさは東京ドーム13個分。
事業者は来年3月の稼働を予定しています。
【注意】2019年6月時点の会社ホームページには23.5個分と表記されていました。
しかし、近くには小学校や幼稚園もあり森林を切り開くことで土砂災害のリスクが増すとして地元の住民が計画に強く反発しているんです。
地元住民
「説明会開きましたとか、なんとかって言っているけども」
「私たちは一切聞いていないので」
「まさに伊東市の二の舞いの状態です。」
函南町役場も計画に同意しない姿勢を見せている一方、事業者はすでに県に開発許可申請を出していて計画はちゃくちゃくと進んでいる状況なんです。
果たして、このメガソーラー計画どうなって行くのか取材してきました。
これ似たような話、伊東市でも起きているというのを情報局で何度もやりましたよね。
伊東市で問題になったメガソーラーとほぼ同じ規模。だいぶ大きなものなんですけども。
伊東市でも住民の多くの方が反対していましたね。
ところが、条例がそこに追いつかない。例えば町がそれについての条例を作っているんですけども施行されるのがもう着工の後ということで止めることはできなかった。
で、県も県でそこに法律に基づいた許可を出すんですけども、許可を出さざるを得ない状況だった。
ということで計画は進んだというような状況で、これは県内どこの市町でも共通する課題ですねということで、いろんな市町がすぐに条例を作らないということで動き出していた。そんな中でまたこういう問題が起きてきたんです。
じゃあ、函南はその条例どうなっているのか、それも含めてお伝えします。
函南町の丹那小学校の前に来ています。
この小学校の奥の山には東京に本社がある会社によるメガソーラーの建設計画が進められています。
その広さは何と、あちら丹那盆地に匹敵する大きさだということなんです。
地元の住民からは反対運動が起きています。
全国で太陽光施設を建設するブルーキャピタルマネジメント社が、来年3月からの稼働を目標に函南町東部の山林で進めているこの計画。
会社のホームページによると敷地面積はおよそ60万平方メートルで、東京ドーム13個分。
発電容量はおよそ4万キロワット、年間では一般家庭7千件以上の電力をまかなえると説明しています。
森林を伐採することで土砂災害の危険性が高まるのではないかと地元住民からは不安の声が。
こちらはメガソーラーに反対する会の代表者、建設の計画を知ったのは5月下旬だったと言います。
「おおむね、この後ろに見えます丹那小学校、丹那牛乳で有名なオラッチェ、この施設のちょうど真後ろの山がほぼ全域に渡ってメガソーラーが約10万枚を超えるソーラーパネルが敷き詰められるということを聞いています。
業者は私たち住民にはそのような説明はほとんどなされていない。
防災マップでも明らかなんですが、この山周辺というのは土石流の危険区域とか、そういう水害の恐れがある地域と言うことでそれだけの規模のメガソーラーができると、当然、大規模災害に繋がるのではないか。そう言った恐れからこの反対運動を始めました」
こちらは函南町が作った土砂災害の防災マップ。
画面右上の計画予定地の南側には赤や茶色で示された土砂災害の危険区域がいくつもあります。
建設予定地の側に赤く示された急な斜面、崩れる可能性があるということ崖の下に集落があります。
そこに住む人達に話を聞いてみると・・・。
「木が伐採されて大雨が降ると、やはり土砂災害があるのですごく不安を思ってます」
「反対ですよね。賛成する人はいないよ」
「ちょっと心配な気持ちです」
不安だとうい声がやはり多く聞かれたんですね。
この地域では事業者による説明会があったそうなんですが・・・。
「何にもこの部落としては意見はまとまっていないんだから。やっていいですよとか、悪いとか」
「業者の方はそんな災害がないような形でやるとは言っても、今、こういう時世で雨だとか想定外が降るじゃん。そのへんのときの対応策をね、どうかなって心配なんだよ」
建設予定地からおよそ1キロのところに小学校や幼稚園があります。
子供たちを通わせる親の間にもメガソーラー反対の声が広がっているんです。
「小学校と幼稚園の裏山にできるということで、まず子供たちの命を守るということが何よりの問題です」
「本当に守るべきもの、大切なものは何かってことだけ考えて頂いて、活動を広めていって、メガソーラー建設を止めたいと思います」
「何の説明も無い。誰からも情報が無い。業者の人達からの話も、小さく(狭い範囲で)区の人たちだけで、上の人たちは聞いたいう感じで話はきいたんですけど、私たちは一切聞いていないので」
「町長さんからも、お願いなので私たちと一緒に立って、私たちと一緒に反対運動に参加してもらいたい。あともっと情報を皆に渡してもらいたいと思っています」
地元住民の反対の主な理由は、土砂災害への不安と事業者からの説明が少ないこと。他にも生態系への影響や景観悪化への心配などがあると言います。
事業者が森林の造成に着手するには森林法という法律に基づく許可を県から受けなければなりません。
事業者は去年10月にこの申請を県に出していて、今、県が精査しているといいます。
そんな状況の中、おととい、反対する住民たちは許可を出さないよう署名を添えて県に求めました。
わずか10日間で集まった署名は2225人分。その数は今も増えつづけていると言います。
しかし、県の担当者はあくまでも森林法という法律に基づいて許可するかどうか判断するとしています。
一方、函南町の担当者は。
「町といたしましては5月30日付けで土地利用の事前協議につきましては同意しない。「不同意」という結果を出しています。
主な理由としましては、地元の軽井沢区こちらの合意形成が図られていない。これが一番大きな理由になります」
このように函南町は事業に同意しないことを県に知らせているんです。
しかし、住民の署名や町の方針に法的な拘束力はありません。
県内では去年、伊東市のメガソーラー建設問題で住民の反対運動が起こりながら建設計画が進んでいる状況があります。
これがきっかけとなり建設に規制を設ける条例を作る市や町が増え、今月1日の時点で県内11の市町で太陽光発電などに関する条例が施行されています。
ところが、函南町ではこうした条例が成立したのは先月のこと。施行されるのは10月なんです。
その前に事業者が着工すれば計画を止めることはできません。
反対する住民は・・・。
「なぜ今まで条例を作らなかったのか?去年作っていればこのメガソーラー計画は条例によって作ることができませんので、住民は不安におちいることはありませんでした。
林地開発の許可が7月半ば前後ぐらいには降りようかとおもいます。まさに伊東市の二の舞いの状態です」
町がこのメガソーラー計画を把握したのは、おととし11月。
ではなぜ、その時にすぐ条例を作らなかったのでしょうか?
町の担当者は次のように説明します。
江田朝夫課長(函南町役場 建設経済部 都市計画課)
「その時点ではですね、やはり私有地に対して使用制限を加えるっていうのはいかがなものかと、いう判断もございまして、当時は条例化まで進まなかったと、こう言った経過がございます」
条例の制定をもう少し早めにしておけば良かったと、そういったことはなかったのでしょうか?
「はい、あの、ま、早めにというよりもですね、やはり町としましては県のモデルガイドライン、これが出てから、そちらの内容を網羅したもので条例化をということで。それとあと、近隣市町の状況を見てということで判断をしていきたいと、このように、まあ思っていたものですから、県のガイドラインの公表を受けて、あの、条例化を進めていたものとなります」
太陽光発電などに関する条例について、県から各自治体にガイドラインが出されたのは去年12月。函南町はその公表を待っていたと言います。
情報局では事業者に対して今後の計画の進め方などについて取材を申し込んでいますが、担当者が不在として現時点では回答は得られていません。
(スタジオ)
いろんな災害があってどうやって命を守るか防災意識が高まる中で、土砂災害の危険箇所のすぐ近くの自然環境がガラッと変わってしまうとなると、やはり住民の方が不安がるっていう気持ちは本当にわかりますよね。
ですから、情報も説明も必要ですね。
はい、また町はこの計画をおととし11月にこの計画を把握していたということですから、まあ、当時はいろいろな事情があったにしても、伊東市のメガソーラー問題をうけてもう少し早く条例を作るなり、なんなり対策ができたのかなとも思いますが、住民の方としてはしっかり説明をしてほしいというのがありますよね。
この函南町は私住民ではないですけど、このオラッチェとかよく遊びに行くので、ちょっと他人事ではない感じで聞いちゃうんですけど。やっぱり説明が無いとまず住民の方は取り残された感じでほんとう不安がつのってしまいますよね。
地元にそういった不安を残したまま、進めていいのかなぁって、こっちから見ると思ってしまいますけど。
たしかにそうなんですよね、だから伊東市の場合でもこれだけ大きな反対があるのにも関わらず事業って進んでしまうというのは、住民の立場から見るとということなんですけども。
例えばこういった事業って法律に則ってやっていくわけですよね。環境アセスメントなんかも行うわけなんですけども、それに法律とか条例とか付いっていっていない。
例えばこのメガソーラーっていうのは国、県を上げてですねクリーンなエネルギーとして推奨してきたという経緯があるんですね。だから作りやすい法体系になっていたけれども、一方で乱開発などの問題が浮き上がってきたことでですね、やっぱりこれ見直さなきゃいけないんじゃないかって機運が何年か前から出てきているんですけども、そこにやっぱり追いついていないという状況があるようです。
今回の場合は事業者ブルーキャピタルマネジメント、東京都の会社ということなんですけども他にも伊東市の今問題になっているところの別の場所でこうしたメガソーラーを作ろうとしている業者でもあります。
東京ドームおよそ13個分の敷地ということで2020年3月稼働予定、いうことなんですが、去年10月に事業者が県に対して林地開発許可を申請していて、これが県の許可が出れば普通に法律に則って計画を進められるということなんですが。
その場所ですよね。丹那盆地という言葉が出てきましたが次をご覧いただきましょう。
地図を上から見ていきますと、丹那って盆地ですから周りが山々に囲まれている。この盆地の大きさとほぼ同じくらいの大きさのメガソーラーの建設が予定されているということでね。
伊藤さんおっしゃいました、オラッチェなんかもこの辺にあるわけなんですけども、非常に大規模であるということと、こうした山々の麓には小学校や幼稚園、住居もあるといいうことで非常に土砂災害について最も心配されているという現状があるわけなんですね。
ここまでの経緯をみてみましょう。
メガソーラーに反対する会の代表の方はですね周辺は土石流の危険区域で水害の恐れがある。メガソーラーが出来ると大規模災害に繋がるのでは、ということで反対をしている。
そして函南町、町としても5月30日付け土地利用の事前協議に同意しないことを決めたと。
地元と合意形成できていないことが理由ということなんですが、伊東市の場合でも条例を作ったり同意しないということを言っていましたが、法的拘束力が無いんですね。これがどこまで有効なのかなという感じはするわけなんですが。
一方、静岡県は事業者が申請している林地開発について森林法に基づいて許可するかどうか判断していくということなんですが、伊東市のケースでは、事業者から改めてデータを出してもらったり協議したりしましたけども、結局、許可をすることになったわけですよね。
事業者は現時点で取材に対して回答は得られていないということなんです。
では森林法って何なのか?
森林法における許可申請のポイント、これ何のための法律かというと、森林に工作物を作る中でですね、周辺に土砂の流出や土砂崩れを発生させる恐れが無いか、災害を防ぐ観点。
さらに、水害を防ぐ観点。
そして、森、山ですから水を育む観点。こういったものに影響しないか?
そして、ちゃんと環境を守ることができるのかどうか。
こういう観点から県が事業者が出すデータに基づいて許可を出すということなんですけども。
これも理由なく許可を出さないってことは有り得ないわけなんですよね。
そうすると今後、普通に計画は進んでいくのかなと思うのですが。
(伊藤)法的とか言われちゃうと、どうしたらいいのかと住民の皆さまも思っちゃいますね。
そうなんですよね。
住民の皆さんが説明が無いという風に言っているんですが、事業者側はこれまで10回以上の説明会はしているということなんですけども、そこにやっぱり参加していない方も多かったということもあるそうなんですよね。
そんな中で、降って湧いた、突然出てきた話って、どうしても地元の方々は思ってしまう。伊東市のケースもそうだったんです。
その時にはある程度、話が進んでいるというところも不安を煽りますよね。
そうなんです、だから町の対応も含めて、やっぱりこれって、呑気に構えていると知らない間に進んでしまうものであるってことは、本当に今回のことでもよくわかりましたね。
みなさん、どんな風にお感じになりましたでしょうか?
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2019年7月5日放送より