伊豆の国市長「函南町に全面的に協力していく」

2022年9月5日、伊豆の国市議会にて山下市長は函南町メガソーラーに関する見解を問われ「函南町長が不同意を貫くと公言している。同じ柿沢川流域にある伊豆の国市として、函南町に全面的に協力していく」と答えました。

手続き上の不備に柿沢川下流の住民から不安の声

二藤武司議員

函南メガソーラー計画での県管理河川「柿沢川」の治水対応は?
市内北部を流れる県管理河川「柿沢川」は、長年、その治水について地域が一体となって取り組んでいるところです。奈古谷区、大仙区、長崎区と、函南町の畑区、新田区が柿沢川治水組合を組織しており、この組合の要望活動により河川改修や排水機場の整備がなされています。

そのような中、柿沢川流域の上流部、函南町軽井沢地区において令和元年メガソーラーの建設計画が県の許可を受け、現在、事業が進められといいますか、事業推進を図られているようでございます。

しかしながら、下流部の伊豆の国市にとっても、メガソーラー計画が柿沢川にどのような影響を及ぼすのか、非常に心配をしているところです。
その計画の許可の手続においても不備があったとも聞いており、このまま計画が進められることについて地元から不安の声が多く寄せられています。

そこで、隣接する自治体の用件でありますが、前に述べますとおり、本市北部の安全安心に影響することなので、このメガソーラー計画に対する伊豆の国市の見解をお伺いします。

(1)函南町軽井沢地区のメガソーラー計画について、計画の概要、許可手続の流れ、現在の状況などについて、どのように把握しておりますか?

(2)このメガソーラー計画の許可に際し不備があったと聞いていますが、どのような内容であったか把握しておりますか?

(3)柿沢川流域の上流部での開発は下流部に位置する伊豆の国市にとって、大きく影響があるものと考えるが、伊豆の国市はでは、これまでどのように対応してきたか、また、今後どのように対応していくのかお伺いします。

伊豆日日新聞(2019年7月30日版)

山下正行市長

それでは二藤議員のご質問にお答え申し上げます。
(1)函南町、軽井沢地区のメガソーラー計画の概要等についてのお尋ねでございます。
函南町軽井沢区において計画されているメガソーラー事業は、約65ヘクタールの山林を事業区域とし、この内、約39ヘクタールを伐採した上で、約10万枚の太陽光パネル、3カ所の調整池などを整備するものであると聞いております。
平成30年10月に事業者は静岡県に林地開発許可申請を行い、同年12月に函南町は土地利用事業の事前協議書を受理しております。
その後、令和元年5月、函南町は事業者に対し不同意と回答し、その旨を県へ報告しましたが、県は「法令要件を満たしているため同年7月に林地開発を許可した」とのことであります。
現在は県条例に基づく環境影響評価、いわゆる環境アセスメントを行っていると聞いております。

次に(2)建設許可に際しての不備の把握状況についてのお尋ねでございます。
今年5月静岡県は「許可後に事業者の河川調査などが不十分であったことで判明した」と県県議会で説明しております。
また町長は「事業者の許可申請の書類に町との河川協議が済んでいると記載されているが、実際は窓口で質疑応答しただけで、これをもって協議が済んでいるとすることは理解できない」と発言されております。
県は「許可の取り消しには至っていないものの、事業者に対し調査のやり直しを求めており、事業者はこれに応じる姿勢を見せている」とのことであります。

次に(3)伊豆の国市のこれまでの対応及び今後の対応についてのお尋ねでございます。
これまで静岡県が行う林地開発の許可手続等において、本市が意見を述べる機会はありませんでした。
私個人としていたしましては、再生可能エネルギーの推進は必要であると考えますが、大規模に山林を伐採することは、防災面からも景観の面からもいかがなものかと疑問を持っております。
今後、河川調査等のやり直しが行われるものと思われますが、その中で適切に判断されることを期待しております。

いずれにいたしましても、地元の函南町長が不同意を貫くと公言されておりますので、同じ柿沢川流域にある伊豆の国市といたしましては、函南町に全面的に協力していく所存でございます。

二藤武司議員

二藤武司議員

ご答弁いただきましたので、私も再質問させていただきます。
この質問を出すときには正直言っての私はこのメガソーラーは余り勉強していなかったのが正直なところです。
その後、少しいろいろな部分でですね、函南町の出したいろいろな部分でのものを調べたところですね。
この「不備」と「不同意」という関連がよくわかりました。

私が申すまでもなく「不備」というのは、河川管理をしている函南町と業者さんがですね、その河川協議をしっかりしてこなかったというのが、申請時の不備というふうに理解をしたんですね。
ただ少しここで批判するわけではございませんが、おかしいなと思うのは、県が林地開発許可を出したというのにはですね、当然、地元同意があって出すという風な話ですよね。

しかしこの時系列の流れを見ますと、函南町はその地元が不同意を出しているのに県が許可を出したっていうところが、どうも、ちょっと未だに私、わからないんですけれども。

それはまぁ、函南町と(県)の中で行われることでしょうから、それ以上の話はできないんですけども。
じゃあここの不同意という意思を出だしたと函南町がしたときにですね。この函南町のその意思決定についてのこの事業の抑制力というのはあるんですか?それを伺いたいと思います。
地元同意のとれてないことに対しての不同意というものが、そういう抑制力があるのかどうかお伺いしたいと思います。

東京新聞(2022年7月27日版)

都市整備部長

このメガソーラーの計画の実施に当たってはですね、法的に必要な手続は、基本的には県の林地開発許可の取得だと思っております。
1ヘクタール以上のですね。林地開発の許可権者は静岡県ですので、県の判断により許可されることになりますが、函南町の土地利用事業の事前協議では不同意であります。
ですが、県の審査基準を見る限り、市町の同意が必要との規定は見当たらないため、県は申請内容が基準を満たしていると判断して許可をしているということになります。

ただ、開発事業者の林地開発の申請は、函南町の土地利用事業の承認見込みで許可を策定したのではないかと思われますので、県は許可後にあっても恐らく承認が得られていない状況を踏まえて、今不十分だったとしているのではないかと思われます。
また、答弁にもございましたが、その後、林地開発の申請の内容も河川協議、河川権者の審査が不十分だったということですので、今後再審査は行われるのではないかと思われます。

現在のところ県は許可をしておりますが、許可の条件であります地域住民へ丁寧に説明をし理解を得るよう努めること。また、防災対策工事を優先して実施することなどの条件が付されていると聞いております。ですので、この条件の履行が開発事業者としては難しい状況にあるのではないかと思っております。

ですので、このようなことからですね。今回のこの事例につきましては、町の土地利用事業については指導要綱ということで強い強制力はありません。しかしながら、直接的にですね、その事業を止めているわけではないんですけれども、間接的には抑止力があるのかなというふうには考えております。

都市計画部長

「関係する市町村の意見を聞かなければならい」ってなっているのに、なぜ聞かなかったのかな?

二藤武司議員

わかりました。でも、まだ少し疑問があるんですけど、私の調べた中ではですね。森林法の中で林地開発等にあたって「関係する市町村の意見を聞かなければならい」ってなっているのに、なぜ聞かなかったのかなって、これは県の範囲ですけども、ちょっと疑問を感じているわけですが、それはそことしておいてですね、私に少しまた質問させていただきますと、ご答弁の中に調整機能を設けるための調整池があるということで書いてございましたが、まずこの調整地が何カ所でどのぐらいのボリュームがあってですね。そして、その調整池を設けることによって、流下量に変化があるのかどうかをお聞きしたいと思います。

都市整備部長

今回の函南町のメガソーラーの計画につきましてはですね。図面等が私どものにないものですが、詳しいことはわからないんですが、先ほど答弁にもありましたように、調整池につきましては、3カ所をつくるというのは伺っております。
で、静岡県のですね、林地開発許可審査基準によりますと、水害対策として調整池の設置が当然求められているということですので、この基準に従って許可をされている限りですね、流下能力には変化はないと思っております。

また、このメガソーラー計画につきましては、土地利用の指導要綱の適用を受けるということですので、都市計画法による開発行為に技術基準がありますので、50年確率ですか、そちらの確率の調整池で設計されているということですので、繰り返しになりますけども、流下量については変更はないものというふうに思っております。以上です。

静岡新聞(2021年2月3日版)

丹那断層の真上に巨大調整池

二藤武司議員

そうですね、私が冒頭に申し上げように、うちの方で行っている事業じゃないですから余り詳しいことはわからないというのは当然でしょう、すみません。

でも、ここに書いてある最終的な目的はの下流部に住む伊豆の国市の治水に関してのことを聞いているものですから、そのへんはご理解いただきたいと思いますが、この調整池についても調整箇所にですね、函南町に丹那断層という断層があるのをご存じだと思うんですね。その断層のちょうど真上にこれらができ上がるっていうことと、今言ってその調整池で調整機能を持ったってことで、65ヘクタールぐらいの開発ですから39ヘクタールぐらいの調整をするための調整池となると、相当でかいボリュームのものだと思うんですよ。

それが断層の上に建って一気にそれが崩れたらなんという心配も実はそこにあったわけですけれども、そこで聞かせていただきまして、調整池によっての流下量の変化はないというふうなことで理解をさせていただきました。
で、その中でね、部長が今、お答えいただいた中での降水確率の50分の1というふうなことで、まさにこれが柿沢川の流下断面、流下量の関係性のことだと思うもんですからね。
それでは、50分の1の降水量はどのくらいの量を指して言っているんですか?

静岡県の基準に従って許可をされている限り流下能力には変化はない?

都市整備部長

はい、議員の仰るとおりですね、柿沢川につきましては50分の1の確率ということなんですが、こう短時間、高強度ということで、時間雨量を104ミリ、場所によって違うんですけども、そのデータをとって今現在は50分の1確率になりますと降雨強度は104ミリと。時間当たり104ミリの雨だということになります。

二藤武司議員

はいそうなってきますと、この確率のベースによって河川の流下能力が決定されると思うんですけど、柿沢川の河川流下能力とのどういうふうな数値で表されているでしょうか。

都市整備部長

たしか、狩野川中流域のアクションプランの中では、確か流下能力として1秒間に200リュウトンだったというふうに認識をしております。以上です。

二藤武司議員

はい、そうなっていきますと、この流下能力の断面計算も当然、流域の中で決めていくものですから、先ほど言った確率のですね104ミリですか?次の質問のところに入ってきますけど、この元年の19号の台風のときに、このメガソーラーが話が来てですね、大惨事を招いたわけじゃございませんから、これができたからこれだという話はなかなかしにくいんですけれども、一番心配しているのは増える要素がある中でですね。今の現在の河川能力で事足りるのかなというのが一番心配事なんですね。一番僕たちの質問したいことなんですけども。
今ある柿沢川の流下能力、また降水確率を含めたときに、柿沢川の河川能力は事足りている、十分だというふうにお考えでしょうか。

都市整備部長

先ほど申し上げたように、今回の事業がですね、静岡県の林地開発許可審査基準に従って許可をされている限りですね、それに基づいた調整池と水害被害対策をでしているのであれば、柿沢川の改修等は必要ないというふうには思っております。
以上です。

二藤武司議員

まぁ、そういうことでしょうね。
地形が変わったわけじゃない。流域が変わったわけじゃないから、そういう話にはなると思うんですけど。
ここで問題にしているのは39ヘクタールのもの伐採をしたときにですねその保水能力の問題が当然あって、ただ、その保水能力の壊れる部分は調整池で調整しますよという話だと思うし、話の構造上の話としてはね。
でも、それは形あるものをやがてという話と同じようにですね。それが断層の上に立って壊れるという想定があるとするならばですよ、ハザードマップの話と同じようにですね、浸水区域の想定で1000分の1という話があるならば、当然そういう恐れがあるから河川容量の見直しというのは県であってもいいのかなと思ったものですから、お聞きしたということで。でも今の部長の話でははないという風な、変化がないというふうなことでしか見直しはないだろうということですから、それはそれでお聞きしたんですけど、手を挙げて何かお答えいただけるようですから、お答えいただきたいと思います。

都市整備部長

確かにですね、一級河川であります。柿沢川ですとか、当然、狩野川も50年確立の降雨の基準ということで、また河川整備をされておりますので、こういった意味でいきますと、林地開発の許可に基づいて開発されれば問題ないと言えますけれども、確かにですね、議員も仰るようにこの計画の規模は余りにも大きくてですね。特にどのような影響が生じていたというのが正直、今不安を感じるところがあるので、全く不安がないかということは言えないところでございます。

二藤武司議員

想像の話ばかりして申しわけないですけど、つい1週間ほど前にですね静岡県の浜松の集中豪雨っていうか時間的何とかってのらしくて、それまで130ミリなんですね、これを考えてますとうちに130ミリの水が雨が降らないこととは言えないものですからね。
当然、こんな単純計算すると、104ミリの許容の中に130ミリが入るのでは、あふれますよという話なんですよ。


解説

静岡県の林地開発許可審査基準に従って許可され、それに基づいた水害被害対策が行われているのであれば、柿沢川の改修等は必要ないという伊豆の国市当局の答弁です。

しかし、この函南メガソーラーと同じブルーキャピタルが施行する山梨県甲斐市では、申請どおりでは無い防災対策が行われ大問題となっています。

参考記事
山梨県知事「社会的責任が欠如している」

また、「県が許可を出したから安全だろう」という推測は、安全の根拠を県の許可だとする悪質事業者の言い分と同じであり、その考えは間違えていると難波副知事(当時)もはっきり答えています。

参考記事
危険性を県に責任転嫁する事業者にNO!

更には、全ての根拠となる申請自体にも虚偽があることが明らかになっています。
これについては9月24日に開会される県議会で追及されていきます。

やはり河川協議は無かった、函南町がはっきりと断言