函南太陽光発電事業計画における“不適切な”林地開発許可手続について

伊丹議員「許可要件を満たしていない計画を許可しているというこの現状が問題である」

県の回答主旨
・計画内容が審査基準に適合するまで工事に着手しないよう指導。
・河川管理者と書面で同意を得るよう厳正に指導。
・工事の着手前に全ての残土について適法な処分先を確保すること。
・開発地を第三者に売却した場合も新たな事業者に法令の遵守を指導。

2022年12月6日、静岡県議会にて伊丹雅治議員(自民改革会議)が、「函南太陽光発電事業計画における不適切な林地開発許可手続について」他の代表質問をしました。

以下は、函南メガソーラーに関する部分の抜粋です。

質問
伊丹雅治議員(自民改革会議)

伊丹雅治議員

函南太陽光発電事業計画における不適切な林地開発許可手続について伺います。
函南町軽井沢地区における大規模太陽光発電所の建設に対しては、函南町の町民の皆様から多くの不安の声が寄せられてきました。

県当局はこれらの声に十分寄り添うことなく、森林法の要件を満たすとして、林地開発許可を行いましたが、許可に当たっての手続上の瑕疵が問題となっています。

我が会派では、函南町太陽光発電事業計画に対する林地開発許可手続について、9月定例会における鈴木啓嗣議員の代表質問や産業委員会において、この問題を検証してきました。

伊豆日日新聞(2022年7月26日版)

産業委員会では、林地開発許可の要件とされる河川管理者との協議の経緯を中心に質疑を行ったほか、開発に伴い発生する残土処分について林地開発調書に記載された処分量が全体の100分の1に留まっていたことや、地元住民からの意見同意がとれていないことなど、新たな問題点が明らかになりました。

当局は事業者に対して計画の修正を求めており、修正が終わるまで工事に着手しないよう指導していると繰り返し答弁されましたが、許可要件を満たしていない計画を許可しているというこの現状が問題であると考えます。

仮に事業者が開発予定地を売却しようとした場合、林地開発許可を得ている土地として第三者に売却が可能となります。土地を取得した第三者が県の指導に従わず、開発に着手する可能性も否定できません。

今回の事例が示すように、行政が一旦許可を行えば、これを取り消し撤回するのは相当に困難です。それであるからこそ、許可に当たっては県として責任を持った対応が必要であります。
許認可権は行政に与えられた与えられた大きな権限であり、これを公正に運用することが行政に対する信頼につながることはいうまでもありません。

今回、明らかになった新たな問題点を踏まえ、函南太陽光発電事業計画における不適切な林地開発許可手続について、今後どのように対応していくのか、県の見解を伺います。

回答
櫻井農林水産担当部長

櫻井農林水産担当部長

函南太陽光発電事業計画における不適切な林地開発許可手続についてお答えいたします。
本事業計画につきましては、県が森林法や県審査基準等に基づき、一連の審査を行い、妥当と判断した上で、地域住民の皆様の災害に対する不安や懸念を真摯に受けとめ、土砂流出の防止対策に万全を期すことなど、15項目の条件を付して許可を行っており、事業者に対してはこの遵守を厳正に指導しております。

また、許可後、事業者から集水区域の誤り等の報告があったことから、計画内容が審査基準に適合することを確認できるまで工事に着手しないよう指導を徹底しているところであります。

ご指摘のありました。河川管理者との調整につきましては、現在、事業者が計画内容に関する訂正書類を順次提出をし、改めて河川管理者との調整を進めております。

今年度、調整手続を明確化するために策定した林地開発許可申請に伴う河川管理者の同意取得に係る運用に基づき、事業者が管理者から書面で同意を得るよう厳正に指導してまいります。

残土の処分につきましては、熱海の災害発生による住民の皆様の懸念も踏まえ、事業者に対して工事の着手前に全ての残土について適法な処分先を確保することや、残土処分の防災計画等について住民等に対して丁寧に説明するよう、引き続き指導を徹底してまいります。

また、地域住民の同意取得につきましては、森林法の許可要件ではございませんが、説明会の開催などを通じて、地域住民等の理解を得ることができるよう努めることを許可条件に付しており、事業者に対して引き続き許可条件の遵守を指導してまいります。

なお、仮に事業者が開発地を第三者に売却した場合につきましても、新たな事業者に対して法令の遵守を指導してまいります。
県といたしましては、住民の皆様の不安や懸念を重く受けとめ、引き続き法令等に基づき、厳正かつ慎重に対応してまいります。

林地開発許可条件