なぜ仁科町長は条例を適用しようとしないのか?

函南町では大規模なメガソーラーの建設が計画されています。
町民の間では事業を抑制する条例がありながら、その適用におよび腰の町に対し不満が高まっています。

町も町民も開発反対

町長「富士山に登る、山頂に登る目標は同じなんですけども、登山口だとか登り口だとか平行線のところはあるなと思います」
住民「安心しました。富士山の頂上はひとつだから、その頂上はなんぞやと言えば、軽井沢メガソーラーの建設を阻止するというのが頂上ですよね?
町長「そうです」
住民「町長として二言は無いと?」
町長「ないです」
住民「間違いないですね?」
町長「はい」
住民「裏切らないでくださいね」

2月10日、函南町役場で町民と仁科喜世志町長ら町の幹部との会談が行われました。
議題は軽沢地区で計画されているメガソーラーです。
この計画は軽井沢地区の山間地65ヘクタール、東京ドーム13個分に相当する広大な敷地に10万枚のソーラーパネルを設置して発電するもので、出力は4万キロワットにおよびます。

この日、町長室を訪れた地元軽井沢地区の住民らは仁科町長に事業を止めるよう強く迫りました。

危険なメガソーラー計画

町民が事業に反対する最大の理由が防災面の不安。
建設予定地に隣接する別のソーラー発電所の付近では去年の台風19号で実際に土砂崩れが起きていまいした。

住民「カナディアンメガソーラーという会社が、この上にメガソーラーを設置して、ここは排水管を通すのり面だったんですね。台風19号で川が水でさらわれる中で斜面が崩落してこれだけのエリアが崩れたという状態なんですね」

関連記事:台風19号の被害から見る考察

条例施行前に申請しているから条例適応できない?

町は去年10月、大規模なメガソーラーを抑制する条例を施行しました。
この条例は、景観や環境との調和が取れなければ大規模メガソーラー事業を認めないとするもので、事業推進には町長の同意を得なければなりません。
同様の条例は別のメガソーラー事業が進められている伊東市をきっかけに県内の市や町で制定されています。

この条例を適用することで事業をストップできると主張している町民に対し、仁科町長は、
「まず(事業を)やめていただきたいというのは、ずっと考え方は変わっていませんし。条例よりも前に申請なり許認可をおりている部分ですから、条例としての抑制区域とかそういうものについても条例が全ての条文にあてはまるとは思ってないですね」

関連記事:変遷する「条例が適用できない理由」に隠された疑惑

函南町だけが異質な解釈

事業者は条例施行前に県に林地開発許可の申請をしています。
町は開発許可申請を持って事業着手とみなしているため、条例施行前の事業にはさかのぼって適用できないとしているのです。
仮に適用すると、事業者から町が訴えられるリスクがあるとしています。

一方、伊東市の場合も事業者は条例施行前に開発許可申請をしているので函南町の解釈に沿えば条例は適用できなことになります。
しかし、伊東市は実際の工事開始をもって事業を着手と捉えているため条例は適用できるという立場です。

高裁判決により、伊東市の考えが正しいことが証明されました。2021/5/1追記
伊東市の判決で、函南町の条例適用に遡及問題が無いことが明らかに

工事着手を事業着手とするのが普通。

関連記事:函南町の「条例が適用出来ない理由」の間違いを解説

焦点は条例を適用するか否か

伊東市のメガソーラー計画を巡っては既に訴訟に発展していますが、伊東市と比べ後ろ向きな町の姿勢に町民は強い憤りをを隠しません。

【注意!】太陽光条例の適用に関しては事業者は伊東市を訴えていません。裁判になっても勝ち目がないからです。

住民「法的にですね、今、止めることができるのはこの条例ですので、われわれ軽井沢区はその今までの一連の町の条例の解釈であるとか、条例の制定のプロセスに対して非常に大きな不信感を持っています。事業を遂行するという方向で法的には動いているわけですから、我々は町長さんの『反対である』という言葉は実は納得できないということですね」

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計画に同意はしないとしながら、現状、事業を止める手段はないとする町。
条例を適用し事業を止めることを求めている町民。

そもそも条例の目的にはこうあります。
町民の財産である緑豊かな自然環境や(中略)災害の発生を防ぎ町民の安全安心で生活しやすい環境の保全に寄与すること。

生命も豊かな自然も一度失えば元には戻りません。

焦点は、条例を適用するか否か

 

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